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1989年旅の途中に訪れたその街は私を素のままで異次元へと連れて行ってくれた。
ガイドブックも地図さえも持たない旅人をこの上ない別世界へと誘ってくれた。

旧市街に一歩足を踏み入れると、そこは異国人にはもう誰かの導きなしには出ることのできない迷宮。
にぎやかな声に誘われて高い壁の狭間を進んだその先はおとぎの国の洞窟の入り口。

石造りのドーム状の天井が連なり、明かり取りの天窓から差し込む細い筋状の光の中に浮かび上がる薄暗い路地。
その左右に地面から天井まで積み上げた絨毯や香辛料、金物、金細工、革製品、極彩色の布や衣服、生肉、食料品を売る店などがぎっしりと果てしなく続き、ランプのオレンジ色の明かりに照らし出されて闇の中で光り輝く。

ここなら本物の魔法のランプや空飛ぶ絨毯が手に入っても何の不思議もない。
そんなアラビアンナイトそのままの世界。

狭い通路は左右にも枝分かれして曲がりくねり、私はすぐに方向を見失う。
物売りや客引き、買い物客の値踏みの声、水たばこをくゆらす男たちの談笑、荷車を引くロバを鞭打ち叱る声、ロバの嘶き、香辛料やお香のむせかえる香り、羊皮や羊肉の匂い、たばこの煙、肉を焼く煙、モスクからのアザーン、祈りの声。
全ての感覚が覚醒される。

その昔、東西交易ルートとして栄え、紀元前からの建造物や中東最大と言われ世界遺産にも指定されたスーク(市場)が現代まで息づく古代都市アレッポ。
イスラム文化に魅了された私は中央アジア、中東、北アフリカで数々のスークを歩いたが、アレッポのスークの趣は別格だった。
        
人々は静かで凛々しく、そして激しく、温かかった。
いつか旅してまわった場所を再び訪ね、出会った人々に再会するのが昔抱いた夢だった。
未成熟な世界というものが、自分が思うより短期間に良くも悪くも激変してしまうことをその頃はまだ知らなかった。

その街が一つ、また一つ壊され無くなってしまった。そこに住まう人々の犠牲と共に。

トルコの国境の町からバスで夜に着いたアレッポで、泊り宛もない私に家に来るかと言ってくれたあの兄弟はどうしているだろうか。
安い宿ならこっちだと安宿街を案内してくれたあの若者はどうしているだろうか。
一人飯の私をテーブルに呼んでくれたあの家族はどうしているだろうか。
アレッポ城を自慢げに教えてくれたあの子どもたちは......

2011年から続くシリアの紛争が激化している。
そして、私は今なお、其処とは別次元、異世界でのうのうと日々送っている。
同じ時代、同じ地上に、同じ人間として生を授かりながら。

(ガル探偵学校大阪校 スタッフまる)

 

1989年のアレッポ

1989年のアレッポ

上:アレッポ城(世界遺産) 下:ウマイヤドモスク(世界遺産) いずれも2013年戦闘で破壊

上:アレッポ城(世界遺産)
下:ウマイヤドモスク(世界遺産)
いずれも2013年戦闘で破壊

 

 

 

 

 

 

 

 

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